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第35話
俺の部屋はちょっと広めの一部屋で、普段はラグを敷いたフローリングの床にクッションを置いて座るスタイル。
水の入ったコップをテーブルに置き、酔っぱらってる梶さんをベッドに座らせて話を聞くことにした。
「で、どうしたんですか?」
ベッドの隣に腰掛けると梶さんはちょっとふて腐れたような顔をしていた。
それからじっと膝の上に組んだ手を見ていたがポツポツと話し出した。
「なあ浅井、お前どうなの?」
「はぁ?」
藪から棒に…俺の何がどうなんだ?
「…その…やけに仲がいいじゃないか…遠藤と…」
「相談事があるって言うから話を聞いてただけですよ」
梶さんは下から俺を上目使いに見る。
「…それだけ?」
「…まぁ、そんな…です」
俺は遠藤にされた、あれやこれやを思い出し、ちょっと顔を赤くした…多分。
それがいけなかった。
「何?顔赤くして。何かあった?そうだろ」
飛びかかってくるような梶さんの勢いに押されそうになる。
「何でもないですよ。ほら、水飲んで酔いをさましましょう」
コップを梶さんの手に持たせ口元に運ぶが、水は口の中に入らず喉を伝ってシャツの襟を濡らす。
「あぁ、ネクタイまで水が染みちゃう」
俺は急いで梶さんのネクタイを緩めた。
近づく俺に、梶さんが囁く。
「…飲ませて」
「お手伝いしてますって」
もう一度コップを持つ梶さんの手を支えるように口元に持っていこうとするが、梶さんの腕が上がらない。
「そうじゃなくって…」
そう言って俺を見つめる梶さん…。
「口移しでちょうだい」
「えっ…」
俺はそっとベッドに押し倒されていた。
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