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第41話
朝日を浴びて、梶さんは家を出ていった。否、追い出した。
会社まで付き添うとか言い出して、さすがにそれは無理と丁寧に辞退した。
「関節痛いし残物感…?」
倦怠感著しいこの体は昨日の出来事が夢でない事を物語っていた。
はぁ〜。
出勤したら顔合わせるのか…。
「会いたくない。有給使うか?」
ダメだ。
梶さんのことだから定時で退勤して家に押しかけて来そう…。
たいして腹の減っていない胃袋に、昨日の冷えた味噌汁を流し込み、俺は身支度を整え始めた。
「あれ?弁当ですか?美味そう!」
「まあな」
昨日の食べ損なった夕飯はタッパーに詰めて俺の昼食にした。
辛い体で外に食べに行かれるか!
「生姜焼き!!一口!!」
犬…犬だ。
パタパタと無いはずの尻尾が揺れて見える。
遠藤は俺の弁当を見てテンションがおかしくなっている。
「浅井さ〜ん…」
じっと見つめないでくれ。
…しょうがない。
「ほら、口開けて」
肉を一枚遠藤の口の中に突っ込んでやった。
「ん…旨いでふ…」
もきゆもきゅと肉を食べる遠藤に呆れつつ、自分も弁当に箸をつけた。
「こんなに旨い生姜焼き、毎日でも食べたい」
弾ける笑顔でいわれても…なぁ…。
「お前いくらでも食べそうだから嫌だよ。早く外に食べに行ってこい」
「ちぇっ…」
ぶつぶつ何かを言いつつ遠藤が出ていく。
それと入れ替わるように梶さんが俺の元にやって来た。
あ〜嫌だなぁ。
飯、食わせてくれ…。
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