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第42話
「浅井…ちょっと…」
キョロキヨロと周囲を見回しやや挙動不審。
「はぁ。何ですか?」
「えっと…弁当美味そうだな…」
「あげませんよ。…で、何ですか?」
「うん…その…」
言い淀む梶さん。テンション高いのか心なしか頬が赤い。
「話まだなら俺、食ってていいですか?」
「あ、うん…その…体は平気か?」
「ぶっっ!!」
盛大にご飯粒を吹き出してしまった…。
周りを急いで見回したが、こちらを気にしている人はいなさそうだ。
「あ…あの…向こうで…」
俺は米粒だらけのモニターをティッシュで慌てて拭き、タッパーに蓋を乗せて梶さんをいつもの自販機前に引っ張った。
「今さらあーだこーだ言うつもりはないんですが…」
ギっと梶さんを睨む。
「社内でそういった話をしないで下さい!」
ほんのりと赤味が差していた顔色が白くなり、しゅん、としてしまった。
「そうだよな…ゴメン」
梶さんはベンチに腰掛けて指を組み頭を垂れた。
言いすぎたか?でも被害者はこっち!
「体は…その…怠いけど…まぁ何とか…梶さんこそ飲みすぎてましたよね…二日酔いとかないんですか、わぁ!」
梶さんは目の前に立つ俺の両手をいきなり取り、何かを決心したように口を開いた。
「俺と付き合ってくれ!」
は?
「昨日の責任を取らせてくれ!」
…俺、男ですよ?
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