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第57話

部屋の中が明るく、レースのカーテンが揺れている。 もう…朝か…? 時計の時間を確認するともう朝という時間じゃなくなってきていた。 「十時間以上寝たのか…怠ぃ…」 昨日に引き続いて体が痛む。 ゆっくりと起き上がり伸びをする… 「…ぃてて…」 ギシギシと体が悲鳴を上げるが、だからと言って動かずにいる訳にもいかない。 いろいろと戸惑う事もあったけれど、自分家に帰らなきゃだし。 そっとベッドから降りてリビングに行った。 「おはよ、しゅうちゃん」 哲はもうとっくに起きていてテーブルには朝食が並んでいた。 「おはよっと。食べていい?」 哲の目の前にドスンと座った。 腰に痛みが響いたが、昨日より具合はいい。 厚切りパンのピザトーストからふんわりといい匂いがする。 「もちろん、どうぞ」 齧るとカリッと小気味よい音がしてとろっとろのチーズがこれでもかと伸びる。 「美味いなぁ」 哲が淹れたコーヒーで喉に流し込む。 フワフワのスクランブルエッグやサラダを胃袋に納めてようやく一息ついた。 「しゅうちゃん…」 哲が何か言いたそうに俺を見ていた。 「じゃ、そろそろ俺、帰るわ」 「しゅうちゃん!」 椅子から立ち上がるがと哲が俺の腕を掴んだ。 「ねぇ、しゅうちゃん。俺と付き合ってよ…」 「…少し考えさせてくれ…」 俺はとにかく疲れている 「今日はもう、帰るから」 体は疲れきってる。 早く一人になりたい。

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