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第66話

…うぅ… …体痛いな…。 もぞもぞと動いて向きを変える。 薄らと開いた寝ぼけ眼の俺の目前に人…。 「ぅわあ!」 「お…はよ」 ちょっと気まづそうにした井上の顔があった。 「…はよ…」 そして俺は頭の下に枕代わりにしている井上の腕を発見…。 「あ…ゴメン、重いよな」 上半身を持ち上げ井上の腕を解放した、が… 「…あ…うん…大丈夫…」 そう答える井上の顔は赤い。 んん? 俺は寝ぼけてるのか…。 きっと、そう。 だって…向かい合って横たわる井上の片脚が俺の脚の間にあって…まるで朝チュンのカップルじゃん。 「悪い…おやすみ」 布団を引き上げ頭から被る。 …夢だ。 …夢に違いない。 「浅井」 体を揺すられる。 いや、コレは夢だから。 「浅井、時間」 ちゃんと寝ないと。 「会社!」 …そうだよ…会社行かなきゃ…あぁ…。 とりあえずは順番にシャワーを浴びて身支度を整えて出勤。 ネクタイとワイシャツは井上から借りた。 背格好はそれほどかわらないのに、ちょっとだぼつく…。 俺の方が細いのか…。 鍛えないとな。 井上は朝は外で食べるらしく、二人で無言で近所の店のモーニングを食べてから会社に入った。 カバンを置いて席に着き、パソコンを立ちあげる。 会社のデスクが落ち着くって末期だよ。 朝だけど早く家に帰りたい…。

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