78 / 304
第78話
淫靡な悪夢を見た。
自分が犯される夢を。
ショックだったのは決してそれが嫌ではなかった事。
肌を這いずり回る手の感触、胎内を責める熱の塊が俺を快楽の世界に突き堕とす。
優しく撫でるように触れないで。
甘噛みなんかじゃなく、傷がつく位に強く痕を残して欲しい。
強く…もっと強く穿って…そして壊して…。
俺を…「痛っ!」
顔に強い衝撃を受け、俺は眠っていたのだと知った。
身体は鉛のように重怠く、腕を動かすのでさえも億劫だ。
身体中が汗と青臭い体液の臭いでベタつき、今すぐにでも風呂場に駆け込みたい。
だが残念な事に俺の身体は酷く疲れていて、起き上がる事を放棄した。
うっすらと記憶の端が見える。
ここで、俺は…。
霞が掛かったままの頭で考えるのは止めよう。
もう一眠りして、それから…
…それから…考えて…
…
ぐるぐると一方通行のような思考を繰り返して、俺は意識を手放した。
ともだちにシェアしよう!