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第78話

淫靡な悪夢を見た。 自分が犯される夢を。 ショックだったのは決してそれが嫌ではなかった事。 肌を這いずり回る手の感触、胎内を責める熱の塊が俺を快楽の世界に突き堕とす。 優しく撫でるように触れないで。 甘噛みなんかじゃなく、傷がつく位に強く痕を残して欲しい。 強く…もっと強く穿って…そして壊して…。 俺を…「痛っ!」 顔に強い衝撃を受け、俺は眠っていたのだと知った。 身体は鉛のように重怠く、腕を動かすのでさえも億劫だ。 身体中が汗と青臭い体液の臭いでベタつき、今すぐにでも風呂場に駆け込みたい。 だが残念な事に俺の身体は酷く疲れていて、起き上がる事を放棄した。 うっすらと記憶の端が見える。 ここで、俺は…。 霞が掛かったままの頭で考えるのは止めよう。 もう一眠りして、それから… …それから…考えて… … ぐるぐると一方通行のような思考を繰り返して、俺は意識を手放した。

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