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第84話
日曜日の午後は自分と部屋のメンテナンスに心がけ、落ち込んだ精神状態を引き上げるように掃除をしたり食事を作ったりして過ごした。
最近は哲の部屋に入り浸ったり会社の人間と飲みに出歩いたりして落ち着いて過ごす事をしなかった気がする。
いつもの自分自身を取り戻そうとしているのによほど体の相性が良かったのか、少し身体を動かした拍子に気持ちよくなってしまうという弊害が多少残っていた。
それでも雑念を振り払うように家事に没頭した。
「隅々まで掃除すると気分がいいな」
物が散らかるような生活はしていなかったが、薄ら積もったホコリを払うだけでスッキリする。
早めに軽く夕食を取り、風呂に入った。
明日、いつも通り二人に接する事が出来るだろうか。
湯船に浸かって身体を温めながら考える。
ま、いいか。
俺だけでも無かった事にすれば。
いつもの通りの出社。
会社の入口で守衛さんに挨拶をした途端にエレベーターとは違う方へと拉致られた。
「浅井さん、おはようございます…」
「あ…あぁ、遠藤おはよう」
遠藤に腕を引かれて、いつものように挨拶出来ただろうか?
「あの…俺…」
「もうすぐ始業だ。行くぞ」
何か言いたげだが、気づかない振りをしてさっさエレベーターに乗った。
そして所属する部署に着くなり、パソコンを立ち上げた。
…ふう。
煩わしい事はゴメンなのに…うわ、梶さんが俺を見てる。
絶対に視線を合わせないという意志を持って俺はひたすらモパソコンのニターを睨んだ。
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