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第86話
「しゅうちゃん…僕のこと、嫌い?」
遠藤と梶さんの次は哲、お前か…。
終業時間の十分前、哲が俺の所にやって来た。
職場でプライベートな事を喋る訳にもいかず、廊下の自販機まで連れ出した。
俺は自販機横にあるベンチに座り、正面に立つ哲を見上げた。
「…嫌いじゃない。ただ…」
「ただ?」
何と言えばいいのだろう…。
「俺はセフレにはなれないから、そういった付き合いは出来ない」
目を見てハッキリと告げれば、哲は酷く悲しげな顔をしていた。
「僕はしゅうちゃんの事をセフレだなんて思った事、無い」
…え?
「しゅうちゃんの事が好き!」
「ちょっと!待って!」
哲の声が大きくなって、廊下に響く。
ヤバい…プライベートが筒抜けになる…。
慌てて立ち上がり哲の口を塞いだ。
ここで話し続ける事も、長時間席を外したままでもいられない。
「哲!この話の続きは後で!いいな」
とりあえず今日の仕事を終わらせてそれから哲と話をする事になり、俺はデスクのパソコンに向かってため息を吐いた。
哲にどう伝えればいいのやら…。
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