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第94話

「浅井ってさ…いつもへらへらしてんじゃん」 「…それ俺の事ディスってるだろ?」 俺は未だ井上の胸の中…。 ここは存外居心地がいい…。 「仕事中の浅井って何を言われても笑顔でいてさ…」 井上が俺の髪に鼻先を埋めて喋ると…くすぐったい。 「…こいつバカなんじゃない?って思ってた」 「オイ!」 「でも無理って言っちゃえばいいのに、一生懸命相手に気を使ってんの」 だって、俺の仕事は部署間の調整だから。 「…面倒な相手にも」 気を使うのなんて当たり前。 「見てた…?」 「見てた」 かぁぁ…と全身が沸騰した。 まさか見られてるなんて! 「またまた〜」 「…宇田島さんとか…」 …ギクッ… 「遠藤…梶…」 「な…何で…?!あ!」 焦って身を捩ろうとして正面から抱き直されてしまった! 「ンン!」 「…知ってる…知ってンだって」 …知ってる…?何を…?どこまで…? 井上の…熱い…身体…。 包み込まれて、抱きしめられて…身体が悦んでいる。 「今すぐどうこうしたい…でも…」 …でも? 「…我慢する…」 井上の言葉とは裏腹な井上の身体…。 ゴリゴリと俺のそれに当たり、こっちの身体まで堪らない。 「もうちょっと…身体…離して…」 「ヤダ…」 さらに腕や脚に力が加わり俺が…限界…。 「あ…もう…あぁ…」 俺からも井上を力の限り抱き返した。

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