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第103話
「…?」
誰だ?
見覚えはあるが…思い出せない。
「修士、どうかしたか?」
未だぬいぐるみを抱えて会計待ちの光希生が俺の顔を覗き込んだ。
「…ん?何でもない…。決まったの?」
「サメとダイオウグソクムシに決めた」
「ソウデスカ…」
…うん。
いいんじゃない?
ご機嫌で会計を済ませた光希生と車に戻った。
土産物を車の後部座席に積んでドアを閉めた光希生は遠くを見ていた。
「次は何処に?」
「うん…そこに観覧車がみえるだろ」
「え…」
観覧車…乗るの?マジ??
「嫌なの?」
…うん…
無言で頷く俺…。
「高い所…?」
…うん…
「あちゃ〜まだ怖いのか〜」
高所恐怖症…とまではいかないが、高所は…苦手だ。
子供の頃、屋根から落ちて…といっても平屋の屋根だから高さ2m位か?
植え込みに着地したから怪我は無かったようだけど。
子供心にショックで当時の記憶はほとんど無い。
高所と転落がキーワードになっている。
「悪いな…」
「いいんだ…」
光希生が少しだけ寂しそうな顔をしてみせた。
「じゃ、ドライブして帰ろっか」
だが車のドアを開けた時には光希生は俺に笑いかけていた。
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