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第114話

目が覚めて、隣で眠る男の顔を眺めた。 ミキは、とても不器用な男なのだ。 心配の仕方も、愛し方も。 俺の事をよく見ていてくれたみたいだが、注意も心配もストレート過ぎて嫌味を言われてると思った程だ。 本人はカッコつけてる風だが、実は恥ずかしげもなくデレたりもして…っていうか、俺の事を“可愛い”って言うのはおかしいだろ! まったく! 今まで好感を持っていても気まづくなったり、苦手だと思っていても好きになったり…と、俺の中でちょっとした変化が起こり始めた。 ミキと…付き合っていく…んだろうな…。 休日は光希生と過してリア充を実感した。 怖いな、リア充。 モチベーションが爆上がりになった気がする。 スキップしそうな気持ちを抑えて廊下を歩くがウキウキが顔に出そう。 両手で顔を叩き、ニヤつく自分を戒めた。 「さ〜て、会議に行くか〜」 今ならバリバリ仕事ができるぜ! …嘘です。 何とかして下さい…。 今日は社内の動線やその他諸々を見直しての再配置の検討会。 そこで意見がぶつかり、どちらも譲らないっていうにっちもさっちもな状態になり三十分…。 「…今日は他の方もいらっしゃいますので、この件は持ち帰って頂いて後日また…」 「だから!そうじゃない!ここは引けないって言ってるでしょ!」 「俺はこっちを譲ってンだから次はそっちが譲れ!」 あぁ〜…勘弁して下さい…。 ちょっと言い過ぎました…。

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