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第115話
今揉めているのは桐谷さんと熊田さん。
二人とも代理出席の人なんだけど…遠慮なく言い合ってるので誰も止められない。
「まあ、少し落ち着いて…」
殴り合いにでもなりそうなほど殺気立つ二人。
そーっと間に入ろうと動いた途端に 胸に衝撃が。
「がっ…ぁ…」
ドン…と背中を壁に押し付けて倒れるのは防いだ。
「は…ッ…痛てて」
「浅井さん!大丈夫ですか!」
桐谷さんが駆け寄って気遣ってくれるが、それなら最初から喧嘩なんてしてくれるなよ!
「だ…大丈夫?…かな?」
右胸の肋骨が痛む。
「何やってんの!あんたたちは!」
宇田島さんが珍しく声を荒立てていた。
「熊のバカ!浅井さんは関係ないだろ!」
…いきなりのバカ発言…子供か…。
「うるさい!断りもなく俺の前に立つのが悪いんだ!」
…その意見も、どーよ?
「あ…の…今日は…纏まりそうもないので…はぁ…お開きで…いいですか…?」
俺は根性で、息も絶え絶えにその場を取り繕った。
「肩貸します。医務室に行きましょう」
「早く行った方がいいね」
桐谷さんはその華奢な身体で頼もしい程に俺の肩を担ぎあげた。
「おいっ、桐谷…」
「ふーんだ!」
宇田島さんが熊田さんの腕を押さえて近づけないようにしている。
も…いいから早く医務室に連れて行って…。
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