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第118話

「桐谷さんと…熊田さん…かな?」 先客に気を使って慌てて出てきたけど…穏やかな雰囲気では無かった。 「さっきも喧嘩腰だったしなぁ…」 どうしたものかと頭を掻きながらデスクに戻り、仕事を始めたが思うように進まない。 「ダメだ…気になる…」 「ん?浅井、どうした?」 挙動不審な俺に梶さんが声を掛けてきたが、あんな事を言える訳もない…。 「いえ、何でも…」 「そうか…ならいい」 とりあえずは仕事…ん…?そうだ! 「ちょっと宇田島さんの所に行ってきます、っ痛ッ」 「いってらっしゃい…」 遠藤がビックリした顔してたけど、構っていられない。 出来るだけ急いで廊下に出て、自販機の影で携帯電話を取り出す。 …直接携帯には掛けたくないんだけど… そう思いながらも以前渡された番号に掛けた。 「お忙しい所すみません。浅井です」 「浅井くん、どうしたの?何かのお誘い?」 …はは、就業中にそれはない。 「あの、桐谷さんと熊田さん…まだ喧嘩してるみたいで…」 「そんなの放っておいて大丈夫だから」 「え?激しく言い合ってましたよ?」 「いつもの事よ。本当は焼ける程に仲がいいのよ、あの二人」 …焼ける程の仲の良さって…? 「はあ…そうですか…。お忙しい時間に、ありがとうございます」 「お礼は食事にでm…」 「失礼します!」 後半は話しが逸れて慌てて切ってしまったが、あの二人は仲がいいのか…。 この間の哲の時といい、今回も自ら動いて食らったようなもんだしな…。 俺は二人を気にしつつも、宇田島さんを信用して様子を見る事にした。

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