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第119話

何だかんだと忙しく働き明日から休みとなる金曜日の終業間近、俺は井上からのMINEをにやけ顔でみていた。 『今晩ウチ来る?』 …祝日があるから最大三日間一緒に過ごせるのか。 『行く』 マッハで返信した。 俺は自覚するほどのにやけ顔を戻す為に缶コーヒーを一本飲んでから仕事に戻った。 「あ、浅井さん。呼びに行こうとしてたんですよ」 「え?何かあった?」 ドキッ…トラブルとか、やだなぁ…。 帰れなくなるじゃん。 「今日は僕、同期と飲むんですけど…浅井さんを紹介してくれって言われて…」 「いや…俺、今日は…」 「熊田が浅井さんに迷惑掛けたって、気にしてて」 いや、そんな事ないのに…あ、気にしたわ。 「桐谷も浅井さんに会いたいって言ってました」 …会いたいって?何で? その言葉のチョイスはどうなの? 「遠藤の同期の集まりに…邪魔するのやだよ」 「でも僕ら皆浅井さんと話がしたいんです」 …ぐ…。 唇を噛む。 しゃーない…か…。 「ちょっとだけ、ちょっと顔出すだけな。それなら …」 「わあ!ありがとうございます。皆喜びます」 おい!仕事中! 遠藤は携帯電話を取り出して何やら操作している。 …あぁ、久々に遠藤のしっぽ…バサバサ振ってるの見たわ…。 犬系後輩の喜ぶ姿を目で追い、俺は井上に“所用でちょっと遅れる“ とMINEした。

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