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第126話
「浅井さんのソレ、美味しそうです〜」
「生姜焼き、美味いですよね」
生姜の香りに誘われるかのように熊田さんは俺のいるテーブルにトレイを置いた。
俺の肉を見つめる熊田さんだが、俺は熊田さんの昼食の量に驚いた。
「そんなに食べるんですか?」
熊田さんのトレイにはハンバーグセット、茄子の揚げ浸し、冷や奴、納豆、サラダが乗っている…多すぎだろ…。
「恥ずかしいんですが…大食いなんです…」
エンゲル係数高そうだ。
「若いから大丈夫ですよ」
…でも、全然太ってない…
「むしろ痩せ気味じゃないですか」
「え?そうですか?」
ワイシャツの上から自分の身体を確認する熊田さんって…可愛いな。
「ほら、この辺なんか…」
腰の、肋骨の下をぺたぺた触わってみた。
「え!筋肉?硬っ!」
「スポーツが趣味なんで…どうしても…はは」
揉んでみる…確かに硬い。
もしかして着痩せするタイプなのだろうか…。
「熊…」
「え…あ!桐谷!は…早いな」
「うん、まぁ…」
俺の手から逃げるように熊田さんは桐谷さんの方へ。
だが、桐谷さんの顔は険しい。
ヤバいと思い俺も二人の方に近づいて行こうとしたが桐谷さんの声で足が止まった。
「触るな!」
ザワつく食堂が静まり返った。
「何怒ってんだよ」
「…知るか!ボケ!」
熊田さんを振り切って、桐谷さんは奥のテーブルへと行ってしまった。
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