127 / 304

第127話

「桐谷さんの事…苦手なんですか?」 「そうじゃ無いです!桐谷…虫の居所でも悪かったのかな…」 はぁ…と熊田さんはため息をついていた。 「実は…先日の会議でお二人が派手に言い合ってたのが気になって…」 「あぁ…いや…あれは違います。違うんです」 違わんでしょ? あれだけ騒いで何も無いって、それこそ無いよ? 「私に治めるだけの力が足りなくて…スミマセン…」 「いえ!とんでもないです、本当に…」 「……」 ヤバい…滅茶苦茶気まずくなった。 取り敢えずご飯を頬張って強制的に話せない状態を作る。 熊田さんは全身からガッカリオーラ全開で、ショボンとして見えた。 俺のせいで盛り下がっちゃったか! 「あ、あの、スポーツはどんな事をなさってますか?」 どうにか少しでもメンタルを上げておかないと…! 「今は自転車とテニスです。そろそろ水泳も始めますけど、違う種類の筋肉を使う運動を幾つか組み合わせてるんですよ」 …うっわ…ガチなヤツだ。 でも好きなだけあって、嬉しそうに話すなぁ。 「仲間となさるんですか?」 「…はぁ…まぁ…」 んん? 途端に歯切れの悪い…地雷か? 熊田さんはチラッと奥の席を見た、ように見えた。 …桐谷さんの事…気にしてるのかな? そして、はあ、とため息をついて再び昼食を食べ始めた。

ともだちにシェアしよう!