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第137話
「ダメって言った…」
「うん、ゴメン」
朝っぱらから盛って、中学性か!
「俺、大人なのに…なんか…漏らした…死にたい」
思い出し、真っ赤になった顔を見られまいと枕に顔を埋める。
だが、横からミキに無理やり救出され、その胸に抱え込まれた。
「俺は嬉しかった!シュウをイかせた実感ハンパない!」
…マジか…
ミキはいいかもしれないが、俺としてはとても大切な何かを確実に失った。
「もう、勘弁してくれよ…」
「たまにならいいだろ?シュウ…」
覗き込むように俺を見る瞳。
「あ〜もう!分かったよ!チクショウ」
…クソ!
何でも許してもらえると思うなよ!
恋人であるミキは遠慮なくイチャつき、甘えてくる。
俺は自分からはグイグイ行けないタイプの人間だから、ミキのように推しの強い奴を受け入れる方が向いてるのかもしれない。
甘えてこられるのもそれ程嫌じゃないし。
最近は週末にミキと過ごす事を心の支えにしている。
廊下を歩く足音が軽やかに感じるのはプライベートが満たれているからだろうか。
俺は鼻歌でも歌い出しそうな位に気持ちよく社内を歩いていた。
宇田島さんも必要以上俺にちょっかい出して来ることも無くなったし、哲にも食事に誘われる事も無い。
「週末早く来い!」
俺は呑気に恋人と過ごす週末を考えながら建屋を出て駐車場を歩いた。
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