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第139話
「これ…どこで…?」
写真に手を伸ばすが指は宙を掴んだ。
「…気になります、よね」
絡みつくような視線と共に桐谷さんの口角がじわりと上がる。
「……」
俺は理解が及ばずどう言っていいのか、言葉が出てこなかった。
「明日、明日少しお時間頂けませんか?」
「え、明日?」
「ええ、明日。その時に…ね」
俺は構内を本館に向かって考え事をしながら歩いていた。
…理解が出来ない。
いきなり見せられた写真。
それは俺とミキがキスしているように見える写真。
それからもう一枚。
俺が青いシーツの上、ワイシャツ姿で股を開いている……エロい感じで写った写真。
シャツが下半身を隠しているせいで下着を履いていないようにも見えた。
あの日…誰が撮ったのか。
何のために?
「…うっ!」
脚に衝撃。
次の瞬間バサバサー、と書類をバラまいた。
「あ〜やった〜…」
「まったく、何よそ見してンの」
しゃがみこんでかき集めるがデジャブかな、上からミキの声。
「いや、ちょっと…ね」
「ホント隙だらけなんだから気をつけてよ」
相変わらずの小言か…。
「今日は一緒に拾ってくれるんだな」
「今日は…って…」
ミキの手が止まる。
「俺だって緊張してたんだ」
「ええ?!」
「もう、いいだろ。早く立てよ」
集めた書類を俺に雑に渡して、ミキは足早に去っていった。
緊張?
何にしてたんだ、アイツ…。
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