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第142話

大通りの一つ裏、人通りもほぼ無い通りから下からの灯りを頼りにコツコツと音を立てて地下へと続く階段を降りていく。 …あ〜、ここは本当に来たくなかったな…。 いい思い出が一つも無い。 古びたドアを開けて桐谷さんが中に入る。 俺と遠藤が後に続いてそのドアを閉めた。 「とりあえずビールでいいですか?」 「ああ」 「俺、生大!」 遠藤! ここは居酒屋じゃない! オシャレなバーだから! 「了解」 って、いいのか…何だ…。 「桐谷さん、今日は忙しかったんじゃないですか?」 「大丈夫ですよ。助っ人も来ましたから、ふふ」 酒が入ったせいか、桐谷さんが明るい…。 「大丈夫じゃないだろ、桐谷〜。また熊とケンカしただろ」 遠藤が挑発するように桐谷さんに絡んだ。 うっわ、いつの間にか大ジョッキおかわりしてるよ、コイツ…。 「…今、それを言う?」 桐谷さんの表情が少し強ばり声音がやや怒気を含んだような気がした。 だがチラッと俺を見て、コホンと咳払いをすると…普段の彼に戻った(ような気がする)。 「先日はお見苦しいところをお見せして、本っ当に申し訳ありませんでした」 …あぁ、あの会議…。 深々と俺に向かってお辞儀をする桐谷さん…。 「いえ、頭を上げてください…俺が…しっかりしてなかったせいですから…」 「熊…いえ熊田が余計なことを突っ込んで来たんで…つい…」 「仲がいいんですね」 そう言ってビールを喉に流し込んだ、が…ん? 二人の視線が痛いな。 なんでだ? 俺、変な事言った?

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