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第143話

「浅井さん、知らないんですか〜?コイツと熊田はねぇ…「遠藤!ビールおかわりは?」…うん、いる」 なんか今桐谷さんが全力で遠藤を阻止したような…。 「熊田とは、何にも無い、です。ほら、もっと飲みましょうよ」 「いえ、俺そんなに…」 「注文お願いします!」 待て、遠藤! 酒を飲みに来た訳じゃないんだって! …一人では抵抗出来る事もなく…俺は酒に流された。 「奥、行きますか?」 勧められてビールとハイボール、カクテルなどを飲んだ後、桐谷さんがそう切り出した。 「奥?」 「そろそろ話をしないと、浅井さん寝ちゃいそうじゃないですか」 「奥は行きなく、ない…」 「そんな可愛い顔しないでくださいよ」 …俺は可愛くなんて、ない。 「ほら、遠藤もいますし、ね」 …遠藤いるなら、いいか…。 「…それなら…ッ…」 振り向いた桐谷さんの目が、口が、弧を描いていて差し出された手を振り払ってしまった。 「こっちへ…」 だが桐谷さんは気にする風でもなく、俺を店の奥へと導いた。

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