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第144話
「座りませんか?」
真っ赤な部屋に固まる俺。
アルコールが入っていても嫌な記憶が容易に思い出されてしまう。
「話って、ここでするの?」
桐谷さんはソファーに、遠藤は机に付属しているイスに、となると俺は…配置的にベッドに座るのか?
「浅井さん、どうかしましたか?」
立ちっぱなしでいたら桐谷さんが不思議そうに俺を見上げた。
「疲れませんか?そちらどうぞ」
勧められたのは…やっぱりベッド…。
「あぁ、うん」
意を決して、俺は赤い波に飲まれることにした。
「それで…写真の事だけど…」
遠藤を気にしつつ、桐谷さんに話を切り出した。
「はい…」
ニヤッという感じで桐谷さんの口がいやらしい形に動いた。
「浅井さん、井上さんとデキてるんですか?」
「えッ!」
そこ!
そこからなの?!
「こ…答えなきゃダメなやつ?」
俺はチラッと遠藤を見るが…遠藤は俺をじっと見ていた。
もちろん桐谷さんは俺を凝視中。
…気まづい…
…遠藤には告白されてるし…
「…うん、付き合ってる…」
「…ですよね。こういった写真もある事ですから」
ペラッと一枚、桐谷さんは俺とミキのツーショット写真(キスシーン…)を俺と遠藤に見せるように取り出した。
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