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第165話
「ふぁ〜」
眠ぃ〜。
目が開ききっていないのを自覚しつつ、パソコンに向かう。
帰りが遅くなっても、ミキは毎日マメに俺の部屋に寄るようになった。
そして部屋に上がってイチャつくだけのつもりが、いつの間にかセックスになだれ込みアンアン鳴かされる。
毎日だ。
そのせいで睡眠時間と体力が削られて地味に辛い。
「幸せ…なんだけどなぁ…」
よいしょ、と俺は立ち上がり席を離れた。
ガコン、と大きな音がしてカフェオレが落ちてくる。
「糖分取って、バリバリ働かねば」
「誰と話してんの?」
廊下に佇む自販機に話しかけていたのを梶さんに見られた!
「何でもないです」
「喋ってたろ?」
「ハイ」
「ほら」
「…あ」
恥ずかしい所を見られてテンパってしまった…。
「…えーと…、最近遠藤と仲良いですね。この間も一緒に飲みに行ったんですか?」
必死に話題をそらしてみた。
小銭を投入口に入れ、梶さんはボタンを押したが…
「え?何でそれ…あぁ、うん。そうなんだ」
ガコンと出てきたのは…オレンジジュース…。
いつものじゃない。
あれ?まずい事聞いちゃった?
「た…たまには葉酸を摂取しないとな」
「そ…そうですね…」
まぁ、うん。
葉酸、大切!
「ははは」
怪しい…。
梶さんは引きつった笑いで曖昧にこの場を濁し、去っていった。
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