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第166話

「うっわ、浅井さん、どうしたんですか?」 「浅井…キモ…」 …酷い。 ルンルン気分で仕事をする俺に外野の評価は厳しい。 今日は珍しく定時で帰れそうなプレミアムフライデー。 タイミング良くミキから外でデートしよう、というお誘いのLIMEがきた俺は、それはもう絶好調で業務を片付けている。 「いいんです。ちゃんと仕事してるんですから」 ニヤケ顔を誤魔化してちょっとつっけんどんに答えた。 「…アレ、デートですよ…」 「間違いねぇな」 …ちょっと! 聞こえるように言わないでくださいよ! …やべ。 ニヤニヤが止まらない。 俺は本当にウキウキ気分で仕事をしていた。 この時までは。 「シュウ、早いな」 …そりゃ、もう。 「今来たんだよ」 …嘘です。 終業のチャイムと同時にダッシュしました…。 「じゃ、行こうか」 ミキとデート。 人通りの多い通りでこっそりと手を繋ぎ、足早に繁華街を抜けた。 「ここ、どうかな?」 ミキが俺を連れてきたのは何かもう、オシャレな肉料理の店だった。

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