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第168話
あー…うん…予感的中…。
熊田さんに案内された席には、もちろん桐谷さんが居て…それはもう出来れば顔を合わせたく無かった。
「お疲れさん」
「…ども…」
「はぁ…」
広めだが一つのテーブルに男四人で座り、盛り上がる事もなく沈黙が続く。
「お待たせいたしました!」
新たに注文したジョッキが四つ、デデンとテーブルに乗った。
「あの…とりあえず…乾杯?」
…熊田さん!
疑問符付けない!
「じゃ、カンパーイ!」
ミキの音頭でグラスを鳴らす。
あぁ、ホントミキってサラリーマン。
こういう場でちゃんと社会人的な対応するんだ。
カッコイイ姿をぽやっと見つめていたらそれに気づいてミキがウインクをして寄越した。
…きゅん。
俺の恋人、カッコイイ。
好き。
大好き。
「シュウ、聞いてるか?」
「ん?なあに?」
返事をしたらミキが震える手のひらで顔を隠した。
「どうしたんだよ〜」
「酔ってるだろ。可愛くなってンぞ」
ミキだって。
顔が赤いじゃん。
「もう…可愛すぎて困る…」
「いつもこんなですか?」
「そう…」
はーっ、とミキは大きなため息を出した。
「ま、桐谷もこう見えて可愛いんですけどね」
…マジで?
…どの辺がそう見える?
「いやいや、俺の浅井だよ。可愛いの」
「またまた。井上さんは知らないからな〜」
「熊田が何を知ってンだよ」
「何って…それは、もう…」
…ふぁ…眠…
アルコールが程よく回ってきたなぁ。
子供みたいに目を擦っていたら、ミキに腕を掴まれた。
「シュウ、行くぞ」
「ど、どこに?」
返事は無く、熊田さんも桐谷さんも席を立った。
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