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第185話
「あの…罪な男って…どういう意味ですか?」
宇田島さんは黙って正面から俺の顔をじっとみていた。
「浅井くんさぁ、君、会社の裏で凄く人気があるんだよ?知らないでしょ?」
「ええ?冗談は止めて下さい」
「はぁ〜」
宇田島さんはまた一つ、大きなため息を落とした。
「“浅井ファンクラブ”を舐めたらダメ」
あ、また出た。
ふざけた名前のそれ。
「それ、何です?勝手に人の名前付けて」
「そのままズバリ、浅井くんのファンクラブ(非公式)だよ」
…確かに非公式…それは合ってる。
「俺の悪口を共有する会とか」
「ち・が・い・ま・す。浅井くん、君、人の話ちゃんと聞いて」
宇田島さんの眉間に軽く皺が寄った。
あ、しまった。
怒らせたかな?
「浅井くんへの愛を確認する会っていうのかな。極秘密裏に結成されている」
それ、俺に言っちゃってますけど…いいの?
「僕は詳しくは分知らないけど…浅井くんに恋人が出来て会は荒ぶってるようだよ」
荒ぶるってナニ?
人の恋愛事情に文句でも?
「夜道は一人で歩かないようにね」
…だから…俺、男…しかもアラサー…
心配してもらう所は多分そこじゃない…。
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