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第186話

一歩外に出れば雲ひとつ無い空の下、容赦なく日差しが降り注ぐ。 真夏を超えたとはいえ日中はまだ暑い。 だが、宇田島さんからさっき聞いたうすら寒い話のせいで俺の背中はヒヤリとしていた。 「人の事なんてどーでもいいだろ!」 …何が“浅井ファンクラブ”だ! 勝手に荒ぶったって、俺のプライベートまで侵食してくんな! 胸の中でだけ大声で怒鳴った。 …ん? 疑問が過ぎる。 梶さんと遠藤、それと何の関係があるんだ? (心の中で)怒鳴って少しだけ冷静になった俺は腕を組み、再び空を見上げた。 「うわっ、危ね」 身体に柔らかい衝撃。 後ろから緩く抱かれて、俺は焦った。 「す…すみませ…んって、ミキ…」 会社の敷地で恋人に抱かれる。 ぼっ、と顔どころか全身が熱を帯びていく。 「シュウはいつもぼんやりしてる。俺以外にそんな顔見せンなよ」 「んっ…」 腕に力を込められて意図せず声が漏れた。 「…だから、そーゆーのも!」 …いやだってそれは俺のせいじゃない。 …ミキが… …ミキなら知ってる? 「…浅井ファンクラブって…知ってる?」 今の俺の最大の謎について恋人に尋ねた。 「…え?あ…うん…」 そのリアクション、怪しい。 「今日、ウチ来るよな」 ミキの視線が、す〜っと動く。 「んッ!」 「来るよね」 俺はネクタイを掴み、顔を引き寄せ耳元で囁いた。

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