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第212話

「え?ここに泊まるの?」 「そ、ここ」 金曜、夜、終業後。 ミキに連れられてやって来たのは某有名ホテル。 これは…随分と…いわゆる分不相応なのでは? 都心の、名の通ったホテルの、上層階。 俺なんか泊まった事の無い部屋。 広告で目にした事があるような無いような…そんな部屋。 「広っ…」 四、五部屋あるんだけど。 キョロキョロと部屋を散策する。 「ベッドでかッ!」 奥にクイーンサイズ?らしき、どデカいベッドがドドーンと控えていた。 「これならいくら寝相が悪くても大丈夫だな、ミキ!」 「シュウは眠るつもりでいるの?」 「え…?」 すぐにハッとして、俺は赤く色づいてしまった顔を伏せた。 顔が熱い。 こんな広いベッドなら男二人でも、いや、四、五人でもイケそう…、って、メンバー誰だよ! 二人で充分! 「ほら、早速風呂に入ろうぜ」 ミキが俺の腰を抱いてバスルームへと誘った。 「うぅ……気持ちい.......」 まさに天にも登る心地良さ.......。 「ジャグジーかぁ。温泉のなら入った事あるけど...うぉぉ…いいなコレ」 ミキが顎を上げ、気持ちよさそうに湯に浸かっている。 「シュウ、コレコレ」 「何、シャンパン?オシャレ過ぎないか?」 「いいのいいの」 ミキは勢いよく栓を抜き、グラスにそれを注いだ。 金色の液体から弾ける無数の泡。 こんなに立派な部屋に泊まって風呂の中でシャンパン…。 とんでもなくない? バチが当たんない? この後、大丈夫だよな? 「シュウ、乾杯!」 カチンとグラスを合わせ、無数の泡を喉に流し込んだ。

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