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第218話

遠くでミキの声がする。 「…から…もういいだろ?」 漠然とした大きな塊が動く気配。 そして、ドアがバタンと閉じた…。 「…れでシュウは俺だけの…」 …あぁ、俺にだってミキだけ…ミキだ…け….......。 大きな窓から日が差し込んでる…。 知らない天井…広いベッドに一人きりで目が覚めた。 大丈夫、今日はちゃんと記憶がある。 「ん…ミキは…?」 俺の視界にミキが映らない。 「…ぁ…痛っ…」 起き上がろうとして関節という関節がギシギシと軋んで鉛のように重い身体。 「昨日…」 嫌という程、ミキに愛された。 もういい、という程に。 まるで誰かに見せつけるような行為に、不覚にも感じまくってしまった。 昨夜涙や涎、体液にまみれてぐちゃぐちゃになった身体をなぞってみるが思いのほかさらっとしていて、きっとミキが綺麗にしてくれたんだと思った。 「でも、シャワー…浴びたい…」 よいしょ、っと気合いでベッドを降り、壁伝いにふらつく足で歩く。 「え…と、こっちだったよな」 柱に手を付き、くるっと首を動かすとやもう一つの寝室が目に入った。 「やっぱりあっちの方が広いな。…ん?」 …何だろう…。 ベッドは整ってるのに…違和感。 俺、こっちの部屋に来てヤッたっけ? 「記憶…無いな」 「…シュウ」 「ッ…!ミキかびっくりさせるなよ」 腰に巻きついた手に手を重ねた。 「やっと起きたな。もう夕方だぜ」 「え!」 日差しの角度が低めだったから午前中だと思ってた。 「俺、そんなに寝てたの?」 「もう、ぐっすりと。一人で寂しかった〜」 後ろから首筋に鼻を寄せ、すりすりと甘えてくる。 「ゴメンて」 「シュウの身体拭いたけど…シャワー浴びてスッキリしてこいよ」 「うん、ありがと。あ、一人で入るからミキは来なくて大丈夫だから」 ミキと一緒に入ったら、またエッチな雰囲気になる! 俺は逃げるようにバスルームに駆け込んだから、その間にミキが何をしたかなんて知らない。 「はいはい、ゆっくりしておいで」 もちろん、ミキの呟きも。

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