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第224話
「これで俺の修士にはもう二度とちょっかい出さないでくれますよね?」
「うん。約束通りに可愛い浅井くんの乱れた姿、堪能させてもらったからねぇ」
いけすかないタヌキ親父め。
「手も口も、それ以外もですよ?」
「ふふ、怖い怖い」
高級スーツをラフに着こなし、今日は髪を緩くオールバックに撫で付けている。
·····勤務時間外はカッケーな·····。
会社では吊しのスーツに黒縁メガネ、もっさいヘアースタイルでモ部長(モブ部長)全開なのに·····。
「浅井くんのファーストキスをいい思い出にするよ」
·····コイツ·····許さん。
血縁じゃなかったらマジでどんな手を使ってでも地方に飛ばす!
「デートの邪魔もしないで下さいよ」
「あれは、ねぇ。僕だってたまには水族館位行くよ」
·····嘘つき·····。
「プレゼントならOK?」
「ダメです。変な物渡さないで下さい。さ、帰った帰った。おっと、ここの支払い忘れないで下さいね、叔父さん」
「お幸せに、光希生」
ダンディに微笑んでいる最後の一人を廊下に押しやって、俺はバタンと扉を閉めた。
「ミキ、どうかした?」
「向こうでテレビ見てたよ」
シュウがバスタオルで髪を拭きながら俺を探していたようだ。
濡れそぼったシュウ…目の毒…。
さあ、これで修士と二人っきり。
ようやく甘〜い二人の時間を過ごせる…。
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