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SS1-6 『 井上光希生 』
卒業式のあの日。
一緒に撮った写真。
今度こそきっかけを作って友達に…!
·····という想いを胸にして大学入学の初日。
俺はカフェスペースで丸に泣きついていた。
「聞いてない!俺はそんな事聞いてないっ!」
「しょうがねぇだろ。泣くなよ」
俺は国公立を受験する予定をキャンセルして丸が進学したココ、千秋藤皇(せんしゅうとうおう)大学に入学した。
突然の進路変更に親も学校もアレコレ言ってきたが、是非ここで学びたい!と言い切って受験し、もちろん合格したのだ。
「浅井ここのキャンパスじゃないじゃん!」
「今年から変わったんだとよ」
「くっそ〜!」
浅井の第一志望がここだと知って急遽変更したからリサーチが足りなかったんだ。
「時々こっちにも来るらしいからそんなにガッカリすんなよ、な!」
丸め、ヒトゴトだと思って…。
「丸は愛央と一緒だもんな…あ〜やってらんね」
「羨ましいだけだろが」
「チッ」
丸の目の前で、大きな舌打ちをしてやった。
そんなこんなで四年間。
会えるようで会えない日々。
きっかけなんて何処にでも落ちている訳もなく…きっと浅井は俺の事なんて覚えていないだろう…。
そんな俺は就職は絶対に失敗出来ない。
別の会社に入ったら根性と執念で浅井に近づけた人生が離れていく…。
そこで俺は大学院へと進む事にした。
海外留学も経験し、ここで自分の価値を高め、浅井が入った会社に採用されて念願の友達になるんだ!
…そう心に決めた。
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