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SS1-7 『 井上光希生 』
大学在学中に浅井の就職先を丸から聞き出し、同じ会社に入るためスキル向上を目的としてあらゆる資格を取得。
海外留学も経験し英語も短期間で必死にマスターした。
そして遅れる事二年、晴れて同じ会社に就職!
神は俺を見捨てなかった!
これで浅井に近づける、夢と希望に満ち満ちた社会人デビューだった。
「丸〜聞いてくれよ〜」
『んあ?!もうその話は聞きたくねぇよ!』
ちっ!
自分がラブラブだからって、冷たいじゃん。
俺はスマホをベッドに放り投げた。
入社式後、約三週間の研修を受けて配属されたのは…地方の製造ラインだった…。
同じ会社には叔父が勤めていて「浅井の近くに配属して欲しい」と伝えてはいたのだが…やっぱり無理だったか…。
よりによってこんな遠く…。
「努力次第で早い時期にこっちに来れるんじゃないかな?」
てな事言って俺を試しやがって!
·····いいさ、俺は実力で浅井の近くに行ってやる!
·····拳を握りしめ、人知れず呟いた…。
「…っ…ん…?」
視界いっぱいに愛しい人。
「ミキ、うなされてたけど…悪い夢でも見てた?」
「昔の…あれ?なんだっけ?」
「歯ぎしりはするし、眉間に縦じわが凄いし…心配になって起こしちゃった」
隣でふにゃりと笑うシュウ。
「ん…ありがと」
手を伸ばして温かな身体を抱き寄せた。
「ン…ちょっ…触り方!」
恋人の肌をまさぐる俺の手。
この一瞬で既に臨戦態勢が整った。
「シュウ…ねぇ…シュウ…」
キスをしながらシュウをうつ伏せにしてその上に覆い被さる。
「あ…ミキ…そんなトコ…ぁ…ん…」
まだ柔らかく湿度を持つ後孔を指先で広げ、昂る俺を押し当てた。
「あッ…ミキぃ…」
入口をすりすりと擦るだけでシュウの背中はしなり、腰が震える。
「入ってもいい?」
背中に強く吸い付く。
赤い所有の証。
あン…とため息混じりの声がして、来て…とシュウが甘く囁いた。
SS1『 井上光希生 』終わり
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