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SS2-1 『 宇田島 美祐 』
「あ…も…もう…イく…!」
ベッドにうつ伏せで押し付けられて背後から責められていた僕は、あともうちょっと、の刹那の快楽を楽しんでいた。
薄暗い部屋、湿度を持った肌に上がる息。
「甥っ子が入社して来んのか…」
「え…?んッ…あぁ…!」
後ろからボソリと聞こえたイケボによって気持ちよりもフライング的にイッてしまった。
…気持ちよくイきたかったのに。
だが、はたと考える。
その言葉の意味。
気持ちが逸れた状態で絶頂を飛び越えてしまったのにはかわりないが…。
「こんな時に…身内の話なんてしないでくれ」
フカフカの枕に身を預け、せめてもの余韻を惜しむように彼の胸に頬を当てた。
すると彼は並んで寝そべっている僕の身体を引き寄せ、片脚を自分に巻き付けた。
「あー、スマン」
どんなに甥っ子が可愛いんだか、理解できない世界だ。
「君のお気に入りの…浅井くん?」
「…僕の?君の、じゃなくて?彼が何か…?あ、ちょっと…ン…」
双丘を揉みしだく手が、内股に伸びて妖しく蠢く。
「…その彼を追って入社して来るんだ」
「………え?社会人になってまで?」
目の前で魅惑の微笑みを浮かべているイケメンに、僕の目は点になっていたと思う。
「美祐(よしひろ)、ユニークな顔になってる」
…イケナイ…表情筋に軽く力を入れる。
「…なあ、もういいだろ、続き…しよ?」
誘う顔で昂る僕のモノを彼の腰に押し当てた。
浅井くんは僕のお気に入り。
彼は見目貢(けんもくみつぐ)のお気に入りでもあるのだが、そのモ部長の直属の部下でもある。
僕には理解できないが、見目はイケメンなのにモブのように目立たずひっそりと仕事をする。
「あ〜ウチの部署に入れたかったな〜」
デスクで呟いた。
「何を入れるんです?業者ですか?」
頭の上から降ってくる声。
「何でもないよ、桐谷くん」
「今日は配管と外装の打ち合わせがあるので午後から外出します。先方との打ち合わせが終わり次第帰社しますので」
「うん、分かった」
会釈して自席に戻る姿が美しい。
桐谷くんは社内で一二を争う美形。
毎日彼の姿を愛でるのがいまの僕の唯一の楽しみなのだ。
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