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SS2-6 『 宇田島 美祐 』
彼の口中をゆっくりと犯す。
キスの経験はあまり無いのだろう、たどたどしく僕の舌を追ってくるのが妙に可愛らしくてそそられた。
縋るように袖をギュッと引っ張っているのも初々しい。
「キス、気持ちよさそうだね?」
だんだんと蕩けてくる表情。
「…うん、きもちぃ…」
キスだけでこんなになって、もっと追い詰めたらどんな風になってしまうのか…考えただけで鳥肌が立ってしまう。
キスを与えながら彼のネクタイの結び目に指を通し、シュルシュルと解けばまるで強請られるように、クンッと袖を引っ張られた。
·····あぁ、こっちの才能がある子か·····!
「嫌じゃないんだね?浅井…修士くん…」
つい、嬉しくなって言ってはいけない言葉を口に出してしまった。
ピクんと体が揺れ彼の目が僕を捉えると、あの蕩けた表情は一瞬で消失した。
·····あぁ、まだ早かったか…。
「あ…俺…」
現実に引き戻され頬にさしていた赤味は消え失せて逆に血の気が失せていくよう。
「…今日はここまで…かな?」
「…すみません…」
「謝らなくていいよ」
恐縮するその姿も可愛らしくて子供にするようについ頭を撫でてしまったが、彼が謝るような事は何も無い。
彼に非は無いのだから。
それでも、相手を気遣ってしまう彼の人の良さは国宝級だとつくづく感じた。
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