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SS3-1『 遠藤 滉』

「鍵、鍵は?」 ·····んん? ·····鍵…は… 「後ろのポケット…出して…」 体が重怠くて、何だかとても…眠い… 「く〜、重かった」 意識よりいささか遠い所で声がする。 自分の意志とは関係無く歩かされ、座らされ、服を脱がされ… ·····あれ? ·····ふわっと香る匂いに身体が反応した。 「ほら、横になって…」 密着する身体が、擦れて… ·····あ…あぁ… でも、離れていく… ·····離れないで…もっと… 腕を伸ばして掴んだ手を引き寄せた。 身体にのしかかる重み。 汗と体温の匂い。 ·····これ… 無意識に抱き締め、思いっきりその匂いを吸い込んだ。 ·····浅井さんの…匂い… 「ほら、離して」 ·····やだ、離さない。 ·····はなさな…い…? ·····って、夢? 「もう、いい加減に…ひっ!」 ·····触りたい… そう思うより早くシャツの中に手を滑らせていた。 「…あっ…ん」 官能を揺さぶる声。 温かく滑らかな肌。 ゴクンと喉が鳴り、一気に覚醒した。 「あ…さい…さんっ」 「あっ」 勢いを付けて身体を回転させ、俺は浅井さんを組み敷いた。 自分の影と浅井さんの輪郭が重なり表情は正確によみとれなかったが…、止められない。 「もう…無理…」 動きが止まったままなのをいい事に、俺は浅井さんの両腕を片手でシーツに縫い止めシャツを捲り上げた。 普段から鍛えておいて良かった。 楽に抑え込める。 「キレイ…」 白い肌に相応しい可愛い胸。 欲望が溢れ出していった。

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