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SS3-5『 遠藤 滉 』
「何だよ…それ…」
梶さんの機嫌が見るからに悪くなっていく。
「何だよって…言えって言ったの、梶さんじゃないですか!」
俺はテーブルに缶ビールの底を叩きつけた。
「あけすけが過ぎる!」
梶さんも負けじと同じようにテーブルに缶ビールの底を叩きつけた。
音を立て勢いで飲み口から飛び出してくるビール。
「ちょっと…汚いし、うるさいですよ!」
「何で…浅井はこんな奴と…信じられん…」
·····失礼な…
「もう終電無くなりますよ?早く帰って下さい」
梶さんの頭はくたりと斜め前に倒れている。
·····このままだと泊めなきゃならない…めんど…
「ほら、起きてください!梶さん!
目を閉じて寝息を立て始めた先輩様は俺が体を揺さぶると若干目が開いた。
「…遠藤のどこが良かったんだ…?」
ジロジロと上から下まで粗を探されるように睨みつけられる。
「俺の方が梶さんよりも魅力的だからですよ」
「はぁん?子犬みたいに尻尾振って懐きやがって!…浅井はな…あいつは俺が育てたんだ!」
「梶さん、下のモノは育ててもらったてたじゃないですか。おあいこ!」
「なるか!」
·····あの時は浅井さんにキスしてる間に梶さんに先を越されて…思い出してもムカつく。
梶さんよりも先に欲しかったのに…。
俺は目の前にいる酔っぱらいの顔を睨んだ。
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