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SS4-7『 梶 一 』
「んッ…は…ぁ…」
遠藤の口中を攻めているつもりでいたのに、いつの間にか自分の口から零れる声…。
両手の自由は奪われたまま、俺は奴のキスで思考が迷走していた。
好きでもない、どちらかというとライバルなのに…。
そんな事も忘れる位に奴のキスは心地よく、開きっぱなしの口から銀色の滴が糸を引いた。
「ほら、グダグダじゃん」
「…んなこと、ない…」
睨みつけ、手を振りほどく。
壁に凭れたまま腕で唇を拭うと再び迫ってくる遠藤の顔。
耳元に唇を寄せて囁く。
「ほら、抱かれたいって顔、してる」
「なっ…!」
顔が熱い。
耳までも。
「……そ、んな顔、してない…!」
「鏡見てみる?梶センパイ」
「んぁッ!」
不意に耳朶を噛まれ、痛みが走った。
「あれ?梶さんM?勃ったままじゃん」
……え?
「な…んで…?」
遠藤に迫られてもなお上を向いたまま、むしろ硬さは増している。
「……ち、違う…あ…!」
遠藤の腕が俺を包み込む。
好きでもない男の汗ばんだ肌が密着して絶対気持ち悪いはずなのに、俺の身体は欲情したままでいる。
……何故?
……こんなはず、無い。
「ほら、アンタ抱かれる側に目覚めたんだよ」
至近距離からの刺すような流し目。
動揺か、混乱か…
ありえないほどの熱を俺の身体は持っていた。
SS3『 遠藤 滉 』& SS4『 梶 一 』 おわり
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