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されどそれは苦難の日々 2

俺はゲイじゃない。 少なくとも浅井が入社してくるまでは。 女の子とフツーにデートして、親しくなればホテルに行ってセックスもした。 柔らかくいい匂いのする身体を抱くのは嫌いじゃない。 だが浅井が入社してからは、俺の関心は浅井一択に変わっていった。 どこかに行く時、何かをする時、俺はなるべく浅井を伴った。 『 次に引き継ぐのは浅井だから 』と言えば、『 分かりました 』と言っていつでもどこでも着いてくる。 会議にも、地方周りの出張にも。 緊張しすぎて帰りの新幹線の中、無防備に眠る浅井の横顔の可愛いさは今思い返してみても萌える。 泊まりの出張はツインでホテル申請したのに何故かいつもシングル二つになっていて、だから浅井の着替え(ハダカ)だけは見た事が無かった。 そのチャンスがなかなか巡って来ないまま浅井は着々と仕事を覚え、俺の下から離れた。 直接の指導が終わってからほとんど一緒に仕事する事は無く、ただ同じ空間にいるだけ。 …つまんねーな…。 席は隣りだから世間話はするが、それは皆と同じ。 俺は俺だけに見せる浅井の隙のある表情を見たい。 無防備な、全てをさらけ出した姿を。 …毎日、そんな幻想を追い求めていた。

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