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されどそれは苦難の日々 4
仕事中の浅井はバリバリ仕事するぜ!っていう感じでも無く、早く終わんねーかなーって感じでも無く、柔らかな表情で淡々と仕事をこなしている。
伏せ目がちにモニターを見つめて時々、フッとため息を落とすのだ。
…正直言ってずっと見ていたい。
だがいつも余裕を持って仕事をしているように見えているのに今日に限っては珍しく少し焦っているようだ。
浅井の目がしきりに時計の方を向いていた。
「浅井、終わるか?」
俺は気になって声を掛けた。
「終わりま…せん」
「しょうがねぇなぁ…こっちに仕事振れ」
「ありがとうございます」
キラキラと笑顔が眩しいぜ。
「今日は遠藤と飯なんで助かります」
…聞き捨てならない。
「マジ?」
「はい」
それ、絶対に下心アリアリのヤツじゃん!
「それ、俺も行く。決定!」
「遠藤に了解取って下さいよ」
「はいはい」
浅井は絶対にダメって言わない。
遠藤の毒牙から浅井を守ってやる。
浅井から店のセレクトを任された俺は二人をお気に入りの店に連れて行った。
いつか浅井を連れて来ようと思ってちゃーんとリサーチ済み。
遠藤が居るのは想定外だが、まあ、いい。
悪事を阻止出来るんだ。
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