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されどそれは苦難の日々 16
「忘れない、俺は忘れられない」
上手く言葉が出てこない。
「浅井の事…す…好きなんだ…よ」
「え…え〜?!」
そんなに否定しなくても…!
俺は勢いよく浅井の肩を掴み、焦る頭でとにかく想いをぶちまけた。
「い…勢いでヤったのは…その…否めない…。で、でも気持ちがあったから…その…手が出た訳で…いや、出たのは手だけじゃねぇな…」
思いつく限り…いや、まだ肝心な事言ってない…
「あ…浅井!好きだ!俺と付き合って欲しい!」
一気にまくしたて、また興奮してきた。
「あ…あの俺は…」
これはいわゆるお断りフレーズ!
「言うな!」
「ひっ!」
浅井の肩を掴む指先に、つい力を込めた。
「今は言うな。考えておいてくれ」
「…じゃあ考えるだけ…ですけど」
聞きたくない言葉を全力で封じ、考えて貰う猶予を勝手に作った。
一安心する間もなく俺は浅井の家から出され、朝日を燦燦と浴びながら家に帰った。
「ただいま」
一人暮らしの部屋なんだから返事なんて返ってくるわけもなく…俺はシャワーを浴びた。
熱いお湯を頭から被り酒に飲まれた事を反省し、それから浅井とヤった感動を反芻した。
「あ〜ダメだな。酒のせいか記憶が虫食いだ」
残念な事に記念すべき浅井との初セックスは記憶が酷く曖昧だった。
チクショウッ!
なんで酔っ払ってたかな…俺は…。
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