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されどそれは苦難の日々 23

朝からの印象のまま、不機嫌全開…というか半開位で浅井は昼まで黙々と仕事をしていた。 …何かあったのか…? …俺じゃ力になれないような事なのか? 昼休憩のチャイムが鳴った所でそれとなく声を掛けてみた。 「浅井…昼飯どう?」 キーボードを打っていた指が止まり、少しの間を空けて浅井が答えた。 「この資料…キリのいい所まで片付けたいので…」 俺の顔を見ないでそれだけ言い、浅井の指が再びキーボードを叩き始めた。 「邪魔して悪かったな」 いえ、…と小さな声が返ってきた。 「振られちゃったし、一人で飯にするか」 昼休憩に入る社員で賑わう食堂に一人で行った。 適当に定食を選び、空いている席に腰掛けるといつの間にか隣に遠藤がいた。 「浅井さん、どうしたんですか?」 「俺だって分かんねぇよ。お前こそ情報持ってないの?」 「…無い訳じゃないんですけど…不確定情報なんですよ…ぐぇ!」 俺は遠藤の首に腕を回し、ある種の羽交い締めをした。 「何でもいい、話せよ」 「ちょっと!それ、人にものを頼む態度ですか?」 「ああ、悪いな。それで?」 「梶さん、浅井さんの事となるとホント人が変わる…」 「ほら、早く…」 「実は…あのシステムの尾川の家に週末ずっといたみたいなんですよ」 「何?」 「…で、想像なんですけど…ヤッ…」 「本当か?」 「だから不確定って言ってるじゃないですか!」 …そこから先はもう遠藤の声も耳に入っては来なかった。 目の前の食事すら原型を留めない程に歪み、言いようのない感情に襲われる…。 「浅井が…尾川と…?」 恋人では無い俺はそれについて何も言う資格はない。 …でも…ヒリつく痛みで、胸を掻き毟った。

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