278 / 304

されどそれは苦難の日々 25

隣の席の様子を気にしながら自分の席に座ってまだ温かなコーヒーの蓋を開けた。 すうっと深く息を吸い、その香りを胸に取り込む。 「浅井は休憩か…。まずメールチェックして…」 マウスを握りパソコンの画面を開いた。 「え〜っと…」 何だかメールが多いな…。 午後から部長と会議に出なきゃならないのに。 次々とメールをチェックしていく。 「ん?ご連絡?」 気になる見出しのメール。 「誰?…研究企画…事代堂……?……!」 そうだ!今日は年一回の定例があったー! 「前の…前のメールは…あ!」 これ…浅いとヤッた次の日に来て…ヤバい…見落としてる…。 誰か…代理を立てないと。 ホワイトボードが設置してある入り口に飛んで行き、各人の勤務内容を確認する。 「…浅井…今日の午後は事務仕事か…。急ぎの物も抱えてないみたいだし。他の人は…無理だな」 とりあえず浅井の体は空いている。 まずは部長に変更報告。 「部長、今日の各所定例会は浅井が出席します」 「あぁ、いいんじゃないの。そろそろ浅井くんに代わっても」 「私は午後、部長と会議に行きますから今回から浅井にこの件を任せます」 …よし! 何とかなった…多分。 あとは休憩から戻ってきた浅井に資料を渡して…。 「まぁ、浅井なら上手くやれる」 分厚い資料を横目で見ながら、俺は呟いた。

ともだちにシェアしよう!