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されどそれは苦難の日々 26

会議まであと二十分。 過去の資料を見返し、今日必要な書類も準備した。 あとは……、と机の上でアレコレしていると電話が鳴った。 「はい、梶です。お疲れ様です」 電話の相手は生産ラインの管理をしている坂上。 中途採用だが同い年で、年に数回飲みに行く仲だ。 「はい…分かりますよ。ええ…連絡が取れない?…はい…携帯にも出ない…そうですか。ちょっと待って下さい」 保留ボタンを押し、部長に確認をとる。 「部長、生産ラインの嘱託社員が一名、二日間連絡取れないそうです」 「ええ?大丈夫なの?」 …大丈夫じゃないから連絡きたんでしょうが。 「…これから登録住所にライン責任者と向かいます」 「そうしてあげて」 「…なので…すみませんが会議はお供できませんので…」 「大丈夫だから」 ホントか? 「浅井が戻り次第今日の資料を渡して、それから嘱託社員の家に向かいます。…もしもし…坂上さん?準備出来次第自宅に行きましょう。よろしくお願いします」 …さて、パソコンから住所、電話番号の載った履歴書を引き出し、プリント。 「…××町、…近いな」 後は浅井に打ち合わせの件を引き継いでもらって…。 なんて考えてる間に浅井が戻ってきた。 昼飯を食べたせいだろうか、顔色が戻ってきている。 「浅井、悪いけど午後の打ち合わせ出られる?」 「まあ、大丈夫ですけど…俺でいいんですか?」 やや表情は固いが浅井が引き継いでくれ、俺は坂上と共に無断欠席した嘱託社員の自宅へと急いだ。

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