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されどそれは苦難の日々 34

「どういうって…知らねぇし」 俺の方が知りたい! 「クソっ!何でこっちに落ちて来ないんだよ!」 珍しくネガティブな遠藤。 「俺の何が…ダメなんだよ…」 遠藤のレアな姿。 悪いがこの状況、利用できないかな…。 トナーだけ回収に出し、休憩を取る当初の目的も忘れて俺は仕事部屋に戻った。 「梶さん、ちょっといいですか?」 「ん?何だ?」 「遠藤、具合でも悪いんですかね」 浅井が俺に声を掛けてきたが…大方落ち込んでる遠藤の姿でも見たんだろう。 「ん〜、そうじゃないみたいで…」 親切ぶってあれやこれや言うのも嫌だが今は仕方ない。 「…アイツもハッキリとは言わないんだけど…」 浅井、遠藤の心配なんて、すんなよ! 心の声が俺の中でこだまする。 「悩み事があるみたいでさ、しんどいんじゃない?」 …ま、俺もだけどね。 そう言って浅井の顔色を伺うが…うわ〜本気で心配してるよ…。 いい人すぎるだろが。 「梶さん、遠藤の悩み…気になりますよね」 「まぁな。カワイイ後輩だからな」 心にも無いことを言うのも気持ち悪いな。 「梶さん、今日は俺と遠藤と三人で飲みに行きませんか?」 「…いいよ。遠藤の事が気になるんだろ?」 ほ〜ら、いい人過ぎる〜。 「遠藤は元気だけが取り柄だからなぁ」 「ま、俺に出来ることは限られてますけど」 「浅井に慰めて貰えるなんていいよな」 「……」 …って、そこはスルーかよ! 「じゃあ仕事終わりにいつもの居酒屋で」 「…いや、今日は金曜日だし、違う所でもいいか?」 「え…え、いいですよ」 「後で場所…送信しとく。ついでに遠藤にも連絡しとくよ」 「ありがとうございます」 嬉しそうな顔をして浅井が席に着き業務を再開した。 チクショウ…遠藤のヤツめ。 気に入らねぇ…。

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