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されどそれは苦難の日々 36

「遠藤、お前まで眠ってんじゃねぇよ」 「ん…梶さん…。あれ、俺寝てました?」 テーブルに突っ伏してグーグーと眠っていた後輩は目覚めてすぐに辺りを見回した。 「浅井さん寝てんじゃないですか!」 浅井は遠藤の正面の席でスヤスヤと寝息を立てている。 「お前を起こしてる間に寝ちまったんだよ」 あどけない浅井の寝姿。 ん〜…貴重…。 「お客様、そろそろお時間なので」 店員がまだ残っている客のテーブルを回り閉店を告げている。 「もうそんな時間?とにかく出ましょうよ」 「仕方ねぇ。浅井、店出るからな」 浅井の腕を取って席を立たせると、僅かに目が開きじっと俺を見た。 「…あれ?梶しゃん?どこに行くんでしゅか?」 「閉店だからな、俺の家…は狭いし、ホテルに泊まるぞ」 「ふふ…梶しゃんとホテル…?はは…」 この反応は可愛いから…まあ、いい。 「よいしょっと。オラ遠藤、行くぞ」 「ハイハイ、カバン三人分も重いんですからね!」 俺はやっとの事で浅井を歩かせ、とりあえず店を後にした。 「ラブホでも良かったのに」 「部屋に入って一言目がそれかよ」 俺達はタクシーを拾い、一番近いビジネスホテルに部屋を取った。 「大人なんだしその辺は弁えろ」 「…はーい…」 もちろんラブホに入りたかったよ。 お前さえいなけりゃな。 設備も(風呂もベッドも広い)アメニティも(ゴムもローションもある)充実してるしな。 「ん〜暑ッ…」 ベッドに転がした浅井が自分のネクタイを緩めようともがいている。 「ほら、しょうがねぇな」 ベッドの端に腰掛けて片腕で抱き起こし、ネクタイとボタンを外すと浅井の顔がすり寄ってきて…俺を見上げた。 「脱がして…くれないの…?」 「シャツな、今脱がすから肘曲げて」 「…ぁ…ン…!」 …オイオイ、シャツ脱がすだけでそんなに感じてんのか? 「…あぁッ…」 ワイシャツの薄い生地が胸を擦り、浅井の口から嬌声と思われる声が…。 「…誘ってますね」 いつの間にか至近距離に遠藤が陣取り、脱がす様子をじっと見ていた。 「遠藤…」 「浅井さ〜ん、いっぱい触ってあげていいですか?」 「…ん…いい…」 蕩けるような眼差し。 「許可、出ましたね」 「出たな」 俺と遠藤は同時に頷いた。

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