302 / 304

されどそれは苦難の日々 49

「浅井さん、大丈夫ですか?」 遠藤が揺り起こすのは一人全裸でベッドに横たわる浅井。 眉間に皺を寄せて寝返りを打ち、苦しそうに口をはくはくとさせて喘ぎ…ようやく声を発した。 「…大丈夫…じゃねぇ…」 …だろうな。 でもな、大丈夫。 …俺も大丈夫じゃねぇんだよ。 「はぁ〜」 しんどそうに身体をゆっくりと起こして俺を、…俺達に視線を送る。 「シャワー…」 浅井は何か言いたげだか一言だけ呟いてベッドから脚を下ろして立ち上がろうとした。 …だが…青白い顔はぐらりと揺れ膝から崩れ落ち… 咄嗟に俺は浅井を抱き抱えていた。 「おっと…」 「…っ…」 決して華奢ではないが、肉の薄い身体。 …この身体を…昨日…俺は… ゴクッと喉が鳴った。 だが浅井は俺から離れようとその身を捩った。 「浅井…一人で入れるか?」 目の合った浅井の瞳の奥…そこに灯る淫靡な焔。 だが、すぐに視線を逸らしその腕に押された。 「大丈夫なんで」 ふらつく身体を引きずって浅井はバスルームに消えていった。 「浅井さん、辛そうでしたね」 部屋に設置された椅子に腰掛けて遠藤がそう言った。 「ああ」 「梶さんが無理させるから」 「違ぇだろ、お前だよお前!」 部屋に残された俺と遠藤二人は…やけに気まづい…というかいたたまれない…というか、複雑な思いで浅井を待った。

ともだちにシェアしよう!