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第5話

俺は後ろ手に柵を握り空を仰ぎ見る 自分にこんなに熱い衝動があるなんて思ってもいなかった 今までのらりくらりと普通に過ごし物事にあまり興味もなく 喜怒哀楽も平坦で…起伏もなかった気がする なのに今普通じゃない俺が居る 自己満足だけど、身体の中から湧き出る 嬉しさ、幸せ 多分今俺は  笑ってる 彼の方へ振り向き彼を見る 「愛してる!」 更にニコリと笑った これが最後かもしれないと彼の顔を記憶し向き直る 柵から手を離し一歩前へ向かうべく足を上げた ガシャン!! 凄い勢いで後ろから抱きしめられ後ろへ引っ張られた… 「分かったから!!」 背の真ん中辺りに柵が当たり痛い… これから飛び降りようとしていたのにこんな衝撃で痛いとか… そこで肩にコツンと重みを感じた 彼の頭が乗せられている そして回された腕を手で触れれば 彼の腕は震えていた… ブラウンの髪が風に揺れ俺の頬を掠めくすぐったい 初めて間近で嗅ぐ彼の匂い… 初めて感じる体温… 心から歓喜している自分がいる… そして微かに聞こえる泣き声… 対極の感情を抱えている俺たち… そのまま俺は彼が落ち着くのを待った 何秒?何分?どれだけ経ったか分からない… 「俺には…お前だけだ」 かなり上から目線の意味不明な言葉を吐き出し 自分で恥ずかしくなり苦笑いする… 「お前って面白いな」 クククッと笑いだしたのを抱きしめられている身体から感じた… そして俺は正気になった… 「助けて…俺高い所ダメなんだ…」 フルフルと震えながら彼の腕をポンポンと叩く

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