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「う……うぐぅっ!」
「動くな。脚閉じたら握り潰す」
「く……うぅ」
彼の手中に握られた自身は、囚われてから一度も硬くなっていない。こんな緊張と恐怖の中で、勃つなんて事はあり得ない。
「閉じるなって言ってるだろ」
「いっ……あぅっ!」
少しも動いていない筈なのに、突然ペニスをバシリと叩かれ、咲夜の身体はベッドの上でビクッビクッとバウンドした。同時に尿道口からは、チョロチョロと尿が零れ出す。
「あ……あっ」
「また漏らしたのか? 二十五にもなって、だらしない奴だ」
「ちがうっ…恭、違う……」
「ここに挿さってた花、抜かなきゃ良かったな」
「やっ! そこ、いたいっ!」
尿道口へと爪を立てられ、無意識の内に手が伸びた。咲夜は必死に恭の手首を掴んで引き剥がそうとするが、身長が高く体躯も立派な彼に適う筈も無く―― 。
「俺の許可無く漏らしちゃ駄目だって、教えたよな。仕置きだ。痛いのと痛くないのどっちがいい?」
「やっ、あ……痛いのは……やだ。ごめ……さい」
この二日間、彼の質問にきちんと答えず、酷くされた記憶が身体にしっかり刻み込まれていたから、咲夜は何とか声を絞り出し、彼の手首から掌を離す。
叩かれるのはもう嫌だった。
「いいだろう」
喉を鳴らして笑う姿に、咲夜の背筋が凍り付く。
昔から、何を考えているか分からない節はあったけど……ここまでの凶暴性を秘めているとは思わなかった。
「間瀬、入れ」
自分の言葉を聞いて貰えぬやるせなさに唇を噛み、学生時代の彼の面影を今の姿に重ねていると、良く通る恭の声のすぐ後に部屋のドアが開かれる。
「コイツを風呂に入れてくるから、シーツを交換しておけ」
「はい」
命じる事に慣れているような恭の姿に驚きながら、見るからに柄の悪そうな、ヤクザのような厳つい男が、頭を下げる様子を目にして咲夜は戸惑うばかりだった。
「あっ、や……」
足首の枷が外されて、恭に軽々と抱き上げられる。
この部屋に、彼以外の人間がいるとは知らなかったから、こんな姿を見られた羞恥に咲夜は身体を竦ませた。
「そのうち慣れる」
耳元で低く囁かれ、耳朶をベロリと舐められる。こんな事に慣れる筈が無いと言いたい衝動が起こるが、そんな気力も体力も既に咲夜には残されていなかった。
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