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「起きろ」
「……っうぅ!」
軽く頬を掌で張られ、意識が今へと引き戻された。瞼を開くと、良く知っている端正な顔が、冷えた視線を向けている。
「あっ……あっ」
先程風呂でも彼に貫かれ、のぼせた咲夜の視界は回り、そのまま意識を失った。そらからの事は覚えていないが、きっと彼が身体を洗い、ベッドへ運んで来たのだろう。
謝罪しなければならないと、咲夜は思って口を開くが、意味を為さない音を発する事しか出来ずに視線を逸らした。
「飲め」
すると突然上体だけを抱き起こされ、唇にグラスを宛てられる。喉がカラカラに乾いていたから素直にそれを飲み干すと、まるで咲夜を誉めるように顎のラインを恭が撫でた。
「うっ…ふっ」
たったそれだけの触れ合いに、涙を流した咲夜は小さな嗚咽を漏らす。ここ数日、あり得ないような出来事ばかりで心が酷く疲れていた。
「何だ? お前……こんな事で感じるのか?」
少しの間、優しいとすら感じる動きに身体を預け、咲夜がじっとしていると……不意に動きを止めた恭が、耳の近くで低く囁く。
「え? ……あっ、ちが…こんな……嘘っ」
「嘘じゃない。勃ってるじゃないか」
無造作に亀頭を掴まれ、思わず視線をそこへ向けると、咲夜の意志とは関係なく……確かに反応してしまっていた。
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