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テスト勉強1

翌日、充希はいつも通り学校へ登校した。 充希のクラスは中学からの持ちあがり組と高校から入ってきた外進組がいる。 充希はそんなに積極的に話をしていく方ではないため、まだまだ喋ったことのないクラスメイトはたくさんいた。そんな中先に教室へ来てた遼が話しかけてきた。 「ミツキおはよ!」 「遼」 彼の元気で明るい挨拶はいつも快い。おはよと遼に挨拶を返した。 「陸上部どうだった?」 「ほんとにちょっとしか見てないよ、俺」 「それでもだよ!気になったからグラウンドにわざわざ来てくれたんだろ?」 そんなつもりはない…と充希は言葉を濁すが、やっぱり高校ではどんなメンバーがいるのかは気になっていた部分はあった。遼は素直になれよと髪をわしゃわしゃかき混ぜてくる。俺が意地張って本音を言わないようにしてることまでバレている…。俺はより恥ずかしくなって遼にもじゃもじゃの髪にされても文句が言えなかった。 「そういえばさ、マユといつ知り合ったの?」 ぽつりと遼が思い出したように言う。 「夜走っているところを話しかけられた」なんて言ったら、夜走る前に陸上部入ればいいじゃんかと言われそうで少し返答にためらってしまう。ただ気持ちの流れで走っているだけだから、部活に入るほどの熱もないし遼の気持ちには答えられないと思った。   遼が返事をしない充希に怪しいと感じ始めたころだ、タイミングよく真悠がうちの教室に現れた。ちょうど昨日隣のクラスという話が出て見に来たのだろう。 「充希」 「真悠」 真悠は真っ先に充希の名前を呼んだ。ドアの外にいる真悠は制服を着ていて、いつもスポーツウェアを着ているのしか見たことなかったから不思議な感じだった。 (ジャージとかよりもブレザーのほうが似合うな・・・) 呼ばれた充希はそう思いながら真悠のそばによる。近くにいくと真悠にたくさんの注目が集まっていた。真悠は目立つのだ。視線の多さに充希はドキドキとしたが、真悠は気にしてないように話しかけてきた。 「今日も来る?行くんだったら俺も一緒に走りたいな」 「あ、うーん・・・どうしようかな、母さんが今日は早く帰ってくるんだよね」 「そうなんだ。いつも、忙しいんだっけ?」 「うん。今日は久しぶりに夜勤がないんだよ」 母子家庭で充希の母が看護師をしていることを昨日話してるため、真悠はすでに知っている。それなら仕方ないね、また今度誘うよと真悠は肩をポンポンと優しく叩いた。 すると突然、遼が会話に飛び込んで入ってきた。 「マユやっほー。何話してんの?」 「あ、遼。実は…」 (遼には言わないでくれ!) と充希は思った。咄嗟に真悠の裾を掴んでしまう。 遼に隠すのは申し訳なかったが、遼の誘いを断る煩わしさと変に期待させてがっかりする様子を見たくなかった。だから真悠にはそのことを言わないでほしかった。 真悠はその充希のアクションに言葉をいったん止めた。 ほんの一瞬だったが、真悠は充希の顔を見て何か察したのか「実はお昼誘おうと思ってたんだよね」と話を誤魔化してくれた。 「そうなのか!そういえば、いつもミツキと昼食ってるんだけど、今日ちょっと先輩に部活のことで呼ばれてて忙しいから、二人で食べて来いよ! ぼっち飯は辛いだろ?ミツキ〜!」 「遼うるさいなっ」 充希には話せる友達がいないわけじゃなかったが、出来上がっている他のグループに割り入ってまで食事するタイプでもない。 真悠のほうを確認すれば「なら一緒に食べようよ」とノリ気であったから、昼は真悠と一緒に食べることにした。

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