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真悠はなぜ走るのか1

翌日恐る恐る学校へ登校した。 陸上部のやつらは相変わらず部員たちで集まってわいわいと騒いでいる。 それにおびえながら、充希は席に着いた。 「充希、昨日大丈夫だったか…?」 遼が話しかけてきた。久しぶりに教室で話した気がする。 遼は昨日俺が帰ったあとどうなったのかは言わず、ただ俺を心配して声をかけてきた。俺に何かあって、帰ろうとしていたことに気づいていたんだろう。その優しさに充希は遼へ泣きつきたくなった。 涙が出そうになるのを堪えて充希は「うん、大丈夫」とだけ応えた。 遼は「そうか…」と詳しくは聞かなかったが、「なんかあったら絶対言えよ」とぽんっと頭に手を置いた。 「遼〜!!先輩が朝練で話したいことあるって〜!」 「あーい、行く!まあ、俺も無理に誘って悪かった。今度は2人でどっか遊び行こうぜ」 「うん、遼ありがと…」 おうよ!とニヒッと明るく彼は笑うと、陸上部達がいる方へ行った。遼は俺が話さなくてもずっと気づいてくれてた。そんな遼に本当に感謝しなきゃなと充希は思った。 一方で、真悠には何故だか顔が合わせられずにいた。 真悠も部活が始まり、放課後は練習に繰り出される。そうなると真悠と会う機会は格段に減った。 もともと真悠が会いにきてくれていたから、俺がそれを意図的に避けてしまえば真悠と顔を合わす時間はほぼゼロに等しくなる。 あれだけ真悠のそばにいたのに、その時間をひっくり返して、彼と会わない時間を増やそうとしてる自分が変だなと充希は思った。 真悠が全て悪かったわけじゃない。それはわかるけど、あの日を思い出すと真悠に会うのが怖かった。輝かしい存在の横に立つと、自分はいらないかのような錯覚に陥る。あの些細な出来事がトラウマになってしまうなんて情けないとは自分でも思うが、やはり真悠と顔を合わせるほどの気持ちは持てなかったし、原因のわからない恐怖があった。 真悠を悪者みたいに立てている自分の気持ちに嫌気がさして、なんだかむしゃくしゃする。 充希はそんな気持ちを抱え、数日後夜走りにでかけた。

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